ただ奇跡を信じて

今日も帰りに祖母の見舞いに行った。
昨日は鼻に管が通されている状態で何とかまだ喋れる状態やったが、今日は完全に覆うマスクタイプになっとって、心拍を感知する装置からアラームがずっとなっとった。眠っているが苦しそうな状態の祖母を見とうと、もうかなり危険な状態が伝わってきて涙が止まらなかった。ナースステーションへ呼びに行き、アラームが鳴っている旨を伝えた。すぐに医師が見にきてくれて、鷲は起きた祖母の手を握って暫く病室にいた。

1年経つから言えるが、明日のなんば線開業へジョイトイさんと行く約束やったが、この時の鷲は「祖母がこんな状態で行って、その間にもしもの事があったら」と考えて正直行ってええもんかかなり悩んどった。

看護婦の人から、「病室移動しますんで・・・」と言われた。ナースステーションから見える部屋へ移動させるらしい。これも後から気付いたが、ナースステーションから見える病室ということは・・・・。
いつまでも病室にいる訳にもいかないので、「この後お父さん来るからね。」と言い残して帰った。ずっとずっと握り締めていた手の感触が、もうまともに話すことすらできなくなった祖母との、繋がりが意思疎通がそこに凝縮されているように感じた。
これも後で知ったことなのだが、この入院が人生最期の入院になるということを祖母も両親も知っていたらしい。それでも鷲は極めて低い可能性を信じて、ただただ良くなって欲しいと祖母の手を握り締めたのである。