フィラデルフィア

前々から気になっていた作品である。心無い新聞連載のせいで結末は知っていたが、私にとって”フィラデルフィア”は特別な作品である。他の娯楽映画とは一線引いて考えたい。1993年の最高傑作と賞され、主役は当作品でアカデミー主演男優賞受賞の トム・ハンクス、共演は デンゼル・ワシントン。同性愛でエイズ感染者のAndrew(トム・ハンクス) が、法律事務所を不当解雇され、訴訟を起こす。弁護士に選んだのはかつて敵同士だったJoe(デンゼル・ワシントン)。周囲の偏見や好奇な眼差しと戦いながら裁判は進行していき、同時にAndrewの病状も悪化していく。
ホームシアターで見たが、正直涙が止まらなかった。エンドクレジットが涙で滲んで見ていられない程、次々と頬を涙が伝っていくのだ。これは私の身近な人に一時期感染疑惑があったことや、私自身が   の為人事でないとの思いがこの映画に対する特別な気持ちを増幅させていた。

実際中高生、遅くても大学生ぐらいになると異性の話、年齢が高くなると実体験の話が出るものだ。私は社会人になって嫌になるぐらいこの手の露骨な話が振られた。しかし、私はそういう話には興味がないというより嫌悪感すら覚える。鬱陶しいしクドイのだ。大抵異性に興味がない→ホモ→四六時中男を漁るような目つきで襲う相手を探している・・・こういった短絡的発想や、同性愛者に対する偏見が根強い発言、雑誌やワイドショー等の○○さん同性愛疑惑とかは、小学生がクラスのイジメ対象の「××菌」に近しい低俗さがあり見るに耐えない。同じ人間でありながら性的趣向の相違を認めない、人が人を好きになるにはまず相手が異性でなければならないという本当に馬鹿げた主張が未だにまかり通っている。Joeはホモ嫌いだが、Andrewとは固い絆で結ばれている。それはけして愛情ではない、同情でもない。嫌いでもいい。お互いを尊重して、受け入れていく事の重要さをこの映画は教えてくれる。皆に一度は見てもらいたい名作である。